「初めまして、Aです」
と名刺をいただきました。生れてはじめてですよ、名刺なんて貰うの。手
にとったものの、どうして良いのか分からず、ずっと手に持ったまま、
「初めまして、○○（本名）です。邪魔にならないようにしてますので、
よろしくお願いします」
と、再度ペコリ。
「そんなに堅苦しいものでもないから。じゃあ、9時から始めますから、そ
れまで、あっちでコーヒーでも飲んでて下さい。始まったら、カメラマンの
後ろの方からなら、多少動き回っても大丈夫ですけど、みんなの荷物がある
から、それだけ注意して下さいね。みんなはスタジオの人だと思うでしょう
から、平気ですよ」
「誰かに話しかけられたら、私のメーク係だって言えば良いよ」
「ああ、それでも良いかも。あかりちゃんにハクが付くしね（笑）」
Aさん、笑いながら、奥の方にあるドアに消えていきました。
「誰かに、名前とか色々、教えちゃダメだよ。私だって、何度も撮影会やって
るけど、プライベートな事は、教えないようにしてるし」
ふーん、やっぱり、結構危ないこととかあるのかぁ？と、やや不安に。。。
と、パーティションのところに、
『本日のモデル ○○○○○（某芸能人にやや似の名前）』
という張り紙が。
「あ～、これって、あかりちゃんの芸名！？」
「そう、でも、違う名前の時もあるよ。意外と適当なの、そのへん」
あかりちゃんは、笑いながらパーティションの中に。ついていくワタシ。
中の広さは三畳くらい（？）。とにかく椅子2つと小さいテーブルと鏡台でもう
いっぱいって感じでした。ふと鏡台のそばに置いてある段ボール箱を見ると、何
やらハデハデな色の衣装らしきものが・・・。
（つづく）
